12月23日。

パチリ、と小気味いい音がして葉月が次の手を指したのが分かる。

続けて幾つか駒をひっくり返す音。

百均で買ったマグネット式の折り畳みオセロは葉月の手には小さすぎて、スムーズにひっくり返せていない。

苦悩する指先を押し退けて残りをひっくり返してやる。

葉月は無言で盤面をじっくりとにらんだ。

私は対して悩むこともなく次の手を指す。

葉月の眉間にシワがよる。

「あ〜…」

まだ駒をおくスペースはあれど、葉月の黒をおける場所は最早四隅の周り以外にはなくなってしまったのだ。