恋桜〜届けこの想い〜




空が担当の看護師に連れられて去った後、窓の外を見てみればすっかり夜になっていた。



チイの病室からは物音ひとつしない。
そっと近づいてドアのノックすると、


「どうぞ」


いつものパワフルさがすとん、と無くなった落ち着いた声が返ってきた。


でも、元気は失ってないような声で、
俺はすっかり安心してしまっていた。



チイの表情は声と同じ。

上半身だけ体を起こして、足元にはタオルケットがくしゃりと、丸めてある。



見た感じ、病人だ。


「律くん、来てくれたんだ…」

チイは柔らかく微笑んだ。


「さっきは、ごめんな。俺が泣かせたみたいだったし。でもよくわからなくて」