「…ぃ…ちゃん…」 「おにいちゃんっ!」 背後から聞こえた声に振り返ると。 キャッチボールをしていた男の子。 青いニット帽の野球少年がいた。 遠山 空だ。 「お兄ちゃん、チハルお姉ちゃんと仲良しでしょ?」 目をウルウルさせて俺が着ているジャージを摘んで離さない手。 どうしたものか。 最近は泣きっ面によく会う。 って今はそんな事じゃなくて。 「どうした?」 「チハルお姉ちゃんを泣かしたの、 お兄ちゃんでしょっ!」