「…此処か」


「…ぇ、本当に此処だよな…」



その日の夕方。



篠宮 千陽とあるネームプレートを前に、

飯田さんからもらった部屋番号の書かれ

たメモを握りしめた俺は葛藤していた。



ー「ちいちゃんが泣いてるところ、

初めて見たよ」ー



ー「あの子の周りにはたくさんの人がい

る。でも本当の意味で側に居る人は」ー

一人もいないんだよ」ー


ひとりもいない。



確かにそうなのかもしれない。