バンっ。 今度は何だよと思うと泣きじゃくっている野球青年がひとり。 鼻水を垂らしながら走ってくるのは、 後輩で一年生の七島 一樹(ななしま かずき)だ。 「律せんばぁい!」 「うっわ。やめろー!」 抱きついてきた七島、通称ナナちゃんからは、汗と混じった太陽の匂いがした。