「俺は、諦めません」 またマウンドに立ちたいから。 甲子園。 去年先輩たちが行った あの夢の舞台で投げたい。 心配そうに見ているカジ先輩に ニコっと笑って見せた。 「そっか」 カジ先輩は満足げに笑うと俺の短髪を乱暴に撫でた。 「痛いっスよ、カジ先輩!」 「お前が三週間も練習さぼったのが悪いんだよ」 ごもっともです。 「庄吾と結衣子ちゃんも心配してた」 「本当すんませんでした」 「俺に謝るなよ。本人達に言え」 はぁっと小さくため息をついたカジ先輩 は部室のドアに視線を向けた。