「じゃあ、お前は…」 カジ先輩から笑顔は消え、声が震えていた。 ー「じゃあっ、辞めないで! 野球辞めないで!!」ー 一生懸命俺に縋り付いて泣くあの彼女が忘れられない。 俺は辞めないよ。 俺は心の中で呟いた。 「辞めませんよ、野球」 「……え?」 ポカンとした表情で固まるカジ先輩。 「俺てっきり、 律は野球部辞めるのかと…」 思わずクスッと笑った。