急に縋り付いてきたかと思うと、 お願い! そう言って彼女は本格的に泣き出してしまった。 華奢な身体が震えている。 どうしたものか。 女を泣かせた事のない 俺は焦った。 いや、かなり焦っていた。 さっきまであんなに笑顔だったのに。 「辞めねえよ、野球。 絶対諦めないから」 それはまるでくすぶっている俺に決断させてくれた彼女からのエールみたいだった。 俺は無意識に彼女の肩に腕を回すとそのまま引き寄せ抱き締めた。