「…気になる?あの子」



そう言うと彼女は俺が座っているベンチにそっと座った。



キャッチボールをしている
少年の事だろうか。




彼女は少年を見ながら微笑ましそうに
目を細めると風で乱れた髪を直し
片耳に髪の毛を掛けた。



俺はその仕草にドキッとした。




「遠山 空くん。いつもお父さんとキャッチボールしてるの」



名物なのよ、と彼女は笑った。


初対面なのに、俺もつられて笑ってた。