二つのグローブに交互に収まる白い球。

俺はいつの間にか魅入ってしまっていた。


その時だ。



君が来たんだ。






「御幸…律くん…」





「……ぇ…」



透き通った綺麗な声。


さらりとなびく艶やかな黒髪には桜の花びらがひとつ、まじっていた。


綺麗だと思った。


ただ単純に彼女は美しかった。