「え、っと」
思いっきり目を泳がせた私に痺れを切らせたのか、先生はフォローに回る。
「辻宮と俺、家が近くてさ。この前、近所のコンビニで会ったときに喋ったんだよ」
「ふーん??いいなぁ、先生と家近くてぇ」
確かに。
私と先生は家が近い、と唯か遥乃…あれ?藍架だっけ??
まぁ、誰かからの情報。
私は最近まで知らなかったけど。
玲奈ちゃんからひしひしと感じる殺気に気付かない振りして私は内心頭を抱える。
ってか、なんで先生とメル友ってだけで隠さなきゃいけないんだ―……??
多分、先生が50歳くらいのオッサンだったら隠さなくてもよかった。
『重束 閒』だから
人気の、重束先生だから隠さなきゃならないんだ―……。
軽く頭痛を覚えながら私は他の人より優越感を感じてしまったり。
だって、どんだけアプローチしても気付かない鈍感先生のメアド持ってるとかさ。
好きになったら、そんなことさえも最強の武器になるんだ―……。
「広瀬、家どこ??」
「えー?私からぁ!?」
「家の人心配するだろ」
「私、後がいい!!」
ラジオの音が一瞬掻き消されるほどの勢いで玲奈ちゃんが声を上げた。
