今回の遊園地で河野は遥乃と付き合うことになるだろう。

私の想いを知ることもないまま―……。



「えー!?夏波、プール入らないのー!?」
「ごめん!今日、アレでさ」
「むー。しょうがないかぁ」

少し不服そうな3人に手を振って、私はプールの入り口にあるベンチに座った。

つい、嘘をついてしまったことに少し後悔する。

遠ざかっていく5人の背中。

遠ざかっていく


河野の、背中。


バスケで鍛えている身体には全然無駄な肉がついていない。
一年のときは背が低い事を悩んでいたのに今では上村とあまり変わらない身長。
うわ。
腰の位置、高……。


待て待て、夏波。
諦めるんじゃなかったの?


私はかぶりを振ると、鞄からケータイを出した。

『ねぇ、アイ。諦めようとしても体が言う事をきかないよ』
『じゃあ、好きでいればいい』
『それはムリだよ…』
『ってか、その“好きな人”の気持ちはどーなの??』

アイの鋭い指摘に、ボタンを押す手が止まる。


河野の、気持ち―……??