中3の夏休み。
私は人生で初めて、失恋した。

ずっと、10年間も想っていた人で…ショックが大きすぎて涙が出なくて。
初めて泣いたのはそれから1週間後だった。

その、10年間は驚くほど偉大で。


私の心に大きな穴を開けた。


ぽっかり



深く



暗く―……。





「夏波~!?今日、始業式なんじゃないの~!?」

ハッと目を開けて時計を見る。

「遅刻―……ッ!!!」

私は全ての作業を高速でこなし、靴のかかとを踏んだまま玄関から出た。
が。
今から走っても結局遅刻だし、と100メートルもいかないところで私は歩き出す。
ムダムダ。

不意にポケットに入れていたケータイが震えた。

『おーい。遅刻か~!?』
『うん。寝坊した♪もういいやッ(^皿^)』
『そんなこと言わずに走れ~(-0-)ノシ』
『え~!?』

電車に乗って、やっと一息ついた私はいつもより遅い時間帯のせいか混んでいる。

『…っていうのは冗談で』

「え……??」

意味が分からずにケータイを凝視した私は後ろから感じた視線に「まさか」と苦笑いした。
振り向きたかったけど、ギュウギュウに混んでいるせいで振り向けない。