「は~……。やっぱ、始業式だろうが終業式だろうがしんどいもんはしんどいよね。うん」
「疲れた~。足むくむ~」

ぐったりとだらしのない声で話す私と千鶴の前を唯と遥乃と藍架が通りかかった。

「あ!!唯、遥乃、藍架♪」

KYな千鶴はいつもの調子で3人に声をかける。
……バカ。

でも、その時私は見たんだ。

何か言おうとして


気まずそうな顔をして口を閉じた唯を―……。


「ゆ―……」
「あ!!辻宮ー、さっきの約束。…守れよ??」

私の声を遮るように背後に立っていた先生。

え。

間抜けな声が頭一杯に響いた。



結局。
(怪しい)満面の笑顔の先生について職員室にいくはめに……。



「うわ。お前らコレ、休みって言えないな」
「何ソレ……えっ……」

山のような宿題に一瞬立ちくらみがした。
予想以上の量だ。

「まぁ、俺は関係ないけど♪」
「無責任なッ」
「英語はちゃんと提出しろよー」

のほほんと切り返されて、私は積まれている宿題のうちの半分を半ば強制的に両手に抱えさせられる。
なんか、最近使われてばっかのような……。

「そうそう、辻宮」
「はい??もうこれ以上持ちませんよ」
「じゃなくて。辻宮さ、もしかして…『ナナミ』??」
「え―……??」

落としかけた宿題を先生に気付かれないように持ち直して、半笑いの表情で首を傾げる。

ちょっと待ってよ。

バレるの早いって。


内心の悲鳴を聞こえないフリして。


「いや。確かに辻宮の名前は『夏波』だけどそういう意味じゃなくて。……えっと……」

もごもご…、といいながら難しい顔をする先生。