この1時間は、俺のもの。


藤原が指定した1時間は、放課後、帰りのホームルーム終了の4:30から5:30だった。


「俺についてきて」

今すぐにでも帰って勉強したいが、約束は約束。
黙って藤原についていくと、校門の前に大きくてピカピカのリムジンが止まっていた。

日曜6時のアニメでしか見たことのない、ザ・金持ちのシーンに言葉を失った。

「ごめん、ジョウさん。電話で伝えたとこ、頼む」

「はい、坊っちゃん」

藤原は運転手と手短に話し、扉を開けて私にウインクした。

「どうぞ、流子ちゃん」