この1時間は、俺のもの。


「なんで知ってるの......」

たしかに今日、サブのシャーペンが壊れてしまった。
友達もいないから、借りるなんて出来ないし、だからあのシャーペンがなければ午後の授業は壊滅的だ。

でもなんで、藤原なんかが......

目を見開く私に、クククと、藤原は笑った。

「俺はなんでも知ってるよー
で、どうするの真面目な流子ちゃん?」

屈辱的だ、と心で呟きながら椅子に座り直し、右手を差し出す。


「1時間だけ」


藤原はさらに口元を上げ笑うと、私の右手の上にシャーペンを置いた。