この1時間は、俺のもの。



「ありがとうございましたー」

私の制止もむなしく藤原は会計を済ませ、店員さんは服のタグを切り終え、私たちは店を出た。

「申し訳ないよ、恥ずかしいし......」

「謝らないで、ありがとうって言って!流子ちゃん可愛いんだし!」

そんなこと言われても、と私は顔を伏せる。

「でも、やっぱ」

「だから、謝らないで!」

藤原が顔を覗き込んで、明るい声で言った。

「......ありがと」

そう呟くと、藤原は満足そうに笑った。




「さぁ、あと、30分はあるね、何しようか」

「何でもいい......」

藤原の半歩後ろを歩きながら答えると、いきなり腕をつかまれた。

「もう、なんで後ろにいるの!隣に来いよ!」

ぐいと引っ張られた拍子に、身体が藤原と密着してしまった。

カーーッと全身が熱くなる。

「ははっ、顔真っ赤」

離れようとしたけど、藤原は手をほどこうとしない。

私は黙って、藤原の横を歩きはじめた。