この1時間は、俺のもの。


何の気なしに悠々と入っていく藤原の後ろからおずおずと入っていく。

キラキラした洋服と店員さんが迎えてくれた。

「いらっしゃいませ、ごゆっくりどうぞ」

「あ、ねぇ、この子に合う服、トータルコーディネートしてあげて」

「かしこまりました、では、こちらへ」

「え、あ、わたしは、あの、え、と」

流れ流され洋服選び。


こちらのガウチョよりも、キュロットの方がフェミニンですよ!

ニットが流行りですが、いかがでしょうか?

飛び交うカタカナ語にうろたえるわたしをバカにするかのように藤原は声を押し殺して笑っていた。

噛みつく隙も与えず、わたしは試着室に入れられた。