「本当に玲実ってば…貴女はやっぱり強いのよ、心が。全てが…私には出来ないこと、淡々とやって退けちゃって。もう私の負けね…ウィン様、処分をどうぞ」
「処分…」
そんなこと、しないで。
「玲実。貴女が内容を決めなさい。」
「え…?」
「貴女が、彼女の処分の内容を決めなさいと言ったんです。…無し以外であれば何でも構いません。」
大貴はそれだけを言うと黙ったしまった。
…私が結実を処分?そんなこと…どうやって?
「嫌だ…そんなの嫌。結実と離れたくない。ずっと側に居たい。結実は友達だもん…」
「…玲実。それが処分の内容ですね。」
気持ちの落ち着かない私に大貴は全部を説明してくれた。
「結実。玲実は自分の近くに結実がいることを処分としました。玲実の側で仕えつづけることにより、自らの罪を償いなさい。」
「は…はい。」
私が下した処分。それは結実が私の側を離れたくないこと。
「大貴…」
「貴女が下したものですよ。…自分で責任は取りなさい。」
「ありがとう…」
「玲実…本当に良いの?地下牢行きじゃなくて」
「結実を閉じ込めたくないもん。」
そして何故か笑えた。
「玲実、ありがとう…。」
「私は何も…」
ふと大貴を見た。
大貴は、ただ笑って頷いた。
「ウィン様…精進致します。」
結実は大貴に跪いた。
「…言う相手を間違ってますよ、結実。それに私は今『大貴』という名です。」
「失礼致しました、大貴様。…」
結実は私の方に向き、ただ頭を下げた。
「結実…顔上げて。」
それでも結実は顔を上げなかった。だったら私が下がるしかない。
私は、結実の前で正座した。
「…結実。」
「どっ、どうして貴女も座るの…?」
「…まだ、友達だって思ってるからかな?…友達とは同じ立場に居たいじゃん?」
結実は顔を上げ、サッと立った。私もサッて立った。そしたら何故か、二人で笑った。
「…家、帰ろう?」
結実はスッとお辞儀をした。
「これでもメイド歴は長いので…癖だとお思い下さい。」
何か面白い。
「よし、帰ろうっ!」
結実の手を引いて歩き出した。
「…お嬢様、取り返す。」
佐藤さんが結実の手を振りほどき、私をお姫様抱っこした。
「ちょ…ちょっと佐藤さんっ!」
「僕も玲実抱っこしたいぃ!」
「…さっちん?しばいたろか?」
「あ、あのぉ…そのえと、……お、お嬢様ぁああ」
「まったく…外ですよ、此処は。」
「さ、佐藤さん…」
「…今日の夕飯、お嬢様の好きなビュッフェスタイルだから。」
「…面白いのね。」
結実…飽きれた調子だけどすっごい笑顔だよ?
「…っ」
佐藤さんのお姫様抱っこで駆け抜ける風は気持ちよくて、周りではみんなの笑顔があって…
私、何度逃げ出してもやっぱり

皆の事が大好き。