「きっと…私は初めからあの牢の中に入れられとくべきだったんだよ…」
やっとの思いで、首を降ることだけができた。
「違わないよ…ふふっ」
結実は肩をすくめて力なく嗤った。
「結実が居たから…結実が居てくれたお陰で、私は凄く楽しかったよ?」
「そんなの、一時の迷いよ。いづれ玲実でもこいつは地下牢に入れて厳重にしとくべきだったって思うわ。」
「迷ってない…思わないっ!」
「ロイだって今じゃ地下牢生活じゃないっ!」
「私が入れたんじゃない…それに、地下牢は開放したいと思ってる。」
「まだ解らないの?私は王族に使える身でありながら、反逆者と手を組んでスパイとなった裏切り者っ!玲実とだって…」
もう…止めて……
「…何時かはこうやって敵同士になるって解ってて今まで接してたんだよ。…そんなやつ、絶対に皆はあの牢獄から出したくないって思うわ。」
結実ともう離れたくないのにそんなこと…
「言わないで…」
「玲実のことは…フロリナ様である貴女も。貴女のことが、何もかもが私は好きよ?でも…でもね、私は貴女の近くには居れない。」
「言わないでって言ったの聞こえなかったっ?!」
「玲実…?」
自分でも信じられない大声が出た。私はもちろん、みんな目をパチクリさせている。でも、私の思いは止まらなかった。
「例えあんたが裏切り者だって言っても、結実は私を助けてくれた。図書室には気を付けてって教えてくれたのは結実だよっ!」
「それは…」
「結実がそんな立場だったのに私ってば本当に何も考えてないんだね…こりゃ国民も嫌うわけだよ。」
「そんなことない…皆、貴女のその強さを尊敬している。」
「ううん…それこそ違うよ。私は守られているんだよ、皆から。でもそれが公にされてないから傷が見えなくて強いって思うんだよ、きっと…皆が居なきゃ、私は今此処に居ない。死んでいた。」
「死んで…?」
頷いた。
「皆が…助けてくれた。だから私は今生きている。助けてくれたのは結実もだよ。」
「っ…」
「結実が、図書室のこと教えてくれたから、此処を少し警戒できた。その情報は結実が私に教えてくれたこと。」
「だって…玲実には死んでほしくなかったから……」
「ありがとう…それにね、結実が私と入れ替わってくれたから、私はずっと何も知らずに生きてこれた。」
「それは…ウィン様からの命令だったからよ。」
「例えそうだったとしても、私は感謝したい…ありがとうって」