そのあと、鈍い音がした。
「玲実…っ!」
翔の声が大きくなる。
「どうして玲実が死ななあかんの?死ぬんは俺やろっ!」
そんなことない…どうしてそんなこと言うの?
…ダメだ。喋る気力が無い。考えるだけで精一杯。顔を見ることすらしんどい。意識がふらふらとする…
「本当の…」
翔が震えている…でもお願い、教えて?
「自由を奪ってしまった…小さい子に、どうしてなんやろな、俺は…お前は、それで自分が解らなくなって力に助けを求めた」
そうなんだ…知らなかった。
「俺はお前を好きになったらあかんかったのにな…」
そんなことない。気持ちに嘘、つかないで?
「玲実…俺、好きなんや。やっぱ玲実が好きや。どうか…どうか死なないで?」
ありがとう。翔…翔の体温、あったかくて、落ち着くよ。
「生きてや…っ!」
唇が私の頬に触れた。その瞬間何故かフワッと体が軽くなって、スッと瞼が開いた。
「玲実…っ!」
翔がぎゅっと抱きしめてくれた。嬉しかった。それで私は恐怖の大きさをやっと感じた。涙が溢れてきた。私も翔を抱きしめ返した。
「玲実…」
「…怖かった」
それが、やっと言えた。死ぬのは必要なこと、でもそれを本気で考えていなかった。それが余計に怖かった…