「やっぱりあのお兄ちゃんは貴教…?」
「さっきもリルのこと言ってたけど、フロリナ様は思い出したんだ?」
頷く。
「…そうか。本当は知られる前に殺したかったんだけどね」
貴教は辛そうに笑った。…私はどうすれば良いんだろう?死にたくない。だけど私が死なないと誰かが傷つけられる。でも私だって死にたくて生まれたわけじゃない。
「どうしても死ぬのは私なの?」
「あぁ。フロリナ様が死なないと僕らはもう…」
「それが、余計に大貴との溝を作らない?」
「それは…」
「私が死ぬことでこの世界にまた色が付くなら良いよ?でも、また争いを起こさない…?」
「起こさないよっ!だから…お願いだから、死んで…?」
こんなにも私っていらない存在なの?どうして私は生まれたの?
「どうして私が殺されるの?怖いよ…」
「僕だって殺したくない…っ!でも殺さないと僕が殺される。怖いんだよ、僕も」
「誰に殺されるの?貴教はそんな悪いことしてないでしょ?」
「したんだよ…僕が、赤碕キキなんだから。」
え…?
「赤碕キキの赤碕はただ名字の漢字イジっただけ。」
どうして今更そんなこと…?
「キキは、貴教だよ。音読みするとキキョウになるから、頭二文字を取ってキキ。」
「でも気持ち悪いって…」
「だって気持ち悪いだしょ。貴女の好きな『ちっぽけな』の神様は貴女ですよ?僕に舞い降りた神様、それがフロリナ様…しかし貴女が壮大な魔力を持ったがために国は滅ぶ。国民全員が貴女を恨み、貴女を妬んだが少なくとも僕は貴女のことが好きだというメッセージを残したかった…」
…急にそんなこと言われても困るだけだよ。私はどうするのが良いのか解らなくなってしまった。
「だから、女の子は笑ったんだ…僕は、僕だけは貴女を愛しているってメッセージだった。でもそれは国民の怒りを買うだけのものにしかならなかった…だから僕はその責任として事の発端を消し去らないといけない。本当は殺したくない。一緒に居たい…っ!」
「それなら…龍二さんたちに言って一回大貴と話そう?…それとも今、私が死んだ方が良いの?」
「そうに決まってる…」
「…みんなに、会いたかったな。」
私は貴教から剣を奪った。殺されるくらいなら、自ら死にたい…そのくらいのプライドなら許される気がする。私は死にたくないけど死ななくちゃいけない…なら、私は自ら終わりたい。
「何を…」
「だって貴教は殺したくないんでしょ?なら、私が自分で…」
「玲実っ!お前は死にたいんかっ?」

声がした。

居るはずの無い、翔の声。

でも遅かった。

私は自分を刺してしまっていた…

痛い…痛い痛い痛い居たい

みんなが…


………
…………
……



好き…

大切な人たちなんだ。