「…今日は大貴様が帰宅なさると連絡入った。」
家について一段落ついたところで佐藤さんが使用人さんたちにそう言った。
自分の部屋に居たんだけど、庭に行こうと玄関を通りかかったらたまたま見掛けた。そうすると、桐本直樹にちょいちょい、と手招きされたのだ。だからこうしていま、こんな所にいる。
使用人さん、全員居るのかな…相当な数。さすが魔界最高の家柄…。
でも一つ気になる。伝えたのが佐藤さんなのだ。
「…こういうの、執事長がするんじゃないの…?」
隣にいる桐本直樹にコソッと聞いた。
「ううんっ。ここではそういうのは一切無いんだよっ。連絡を受けた者が伝える。それがここの使用人たちのルールっ!それに龍二に全部任せられないでしょ?」
すると隣にいた桐本直樹はコソッと教えてくれた。
それにしても…
「この異様な男女比率…」
ついボソッと言ってしまった。またまた隣の桐本直樹が教えてくれた情報によると、どうやら大貴先生は親の影響か何かで女の子は大丈夫だけど大人の女性が苦手らしい。
「…解散。各自、大貴様、玲実様に不快な思いは一切感じさせないように。」
佐藤さんの言葉に、一同一斉に返事。私は、何故か下を向いてしまった。
「皆、私よりも長いこと一緒にいるから…少し場所がないな」
「そんな暗いこと言わないのっ!此処は、玲実の家だよ…一旦部屋に戻ろっか。」
いきなり桐本直樹に両肩をガシッと捕まれてそう言われた。無自覚のうちに言葉を発していたんだ…
私は桐本直樹の言葉に頷き、一度その場を離れた。
お庭は…また今度でもいっか。少し気分が逸れてしまった