そんな時、1人の生徒が席を立った。
それを見て、会場の生徒が一斉に
立ち上がる。
私もあわてて、席を立った。
…が、私が見ず知らずの人に話しかけるなんて無理。
脳ではすべき行動がわかっているのに、
心が邪魔をする。
周りが忙しく動き回り話す中
私だけ時が止まっているみたいだった。
1人その場に立ち尽くしていると、
誰かの肩があたった。
その衝撃で私は尻もちをつく。
小さな痛みがじわじわと広がる。
「みんな、パートナー探しで
忙しいもんね…。」
私は諦めをこめた声色で他人事のように
つぶやいた。
いつまでも尻もちをついているわけにも
いかず、床にある視線を上げる。
すると、そこには、誰かの手があった。