どこからともなくいい香りが

だだよってくる。

…………ん?あれ?

少しずつもどる意識をフル稼働する。

私……昨日……………。

「あっ!!!」

「わぁっっ!!!」

昨日のことを思い出し、飛び起きると

私以外の悲鳴が。

「もう…びっくりした…!あなた昨日

そこで寝ちゃってたから…。」

少し呆れ顔をしながら、焼きたてのパン

をお皿にのせて運んでくる女の人。

この人が、もう一人…の?

テーブルにパンが置かれる。

「あ、あの!…すみませんでした…。

自室で寝ようと思ってたのですが、

その…うっかり…寝ちゃって……。」

慌てて謝罪すると、彼女からは

何の答えもない。

「お、怒ってらっしゃいますか……?」

だってこれから一緒に生活する部屋で

勝手に寝られてたら嫌だよね…。

すると、唐突に

「っぷ……!あはははははっ!!!」

笑い声に驚いて彼女の方を見る。

「もう〜〜〜〜!そんなに緊張して!

かわいい〜〜っっ!!」

そう言うと私は急に抱きしめられる。

「わっ…!え、えとっ!!」

「かわいい子が同室で良かったわ!

私、上森 文香(かみもり ふみか)

って言うの!よろしくっ!!」

「私は、逆野 蓮香といいます。

よろしくお願いします!」

そういってお辞儀すると、再び

上森さんに抱きつかれる。

「これからは毎日、ぎゅーって

したげるからね!!」

そう言う彼女はキラキラした笑顔に

私も思わず笑顔になった。