清響高校は全員、寮に住まわされる。

「216………、216………」

うっかりすると忘れそうになるので

小さく呟きながら部屋へ向かう。

真っ直ぐな廊下を進んでいく。

………………あった!!

私が216号室で、南巻くんが217号室。

さすがに男女で同室ってわけには…ね?

自分の部屋の前に立って、鍵を開けると

「…また明日。」

南巻くんはそう言うと、一足先に

217号室に入っていった。

「わぁ………………」

今日から自室となる部屋に入る。

…うん、なんというか…空っぽ、だね。

当たり前だけど……。

玄関からは一本の廊下。

その一番奥の部屋へ入った。

まず真新しい低めの木のテーブルと

ソファーが一組、目に入る。

右にはキッチン。

左にはテレビが置いてあった。

テーブルとテレビの下には絨毯があり、

上を見上げるとエアコンがあった。

ここがリビング、かな。

一度リビングを出て、他の部屋を探索

してみる。

トイレに…お風呂。……空き部屋が

二部屋…。

二つってことは、誰か他にも同室の人が

いるんだよね……?

うぅ…どんな人だろう…?

優しい人だといいなぁ…。

リビングへ戻り、ソファに腰掛ける。

ふぅ…、疲れたなぁ……。

息をつきながら、ぼーっと遠くを見る。

たくさんのことが頭を駆け巡るけど、

上手く思考が回らない。

だんだん睡眠術にでもかかったように

まぶたが降りてくる。

…だめ、だよね。

こんなとこで寝ちゃ……。

いえないと思う気持ちより眠さが

勝っていた。

ごめんなさい……、同室の人……。

そう思うのを最後に私の意識は途切れた。