「優苗も、ありがとな」 「……わたしも医者ですから」 ふふっ、と大地は笑って前を向いた。 もう沈みかけている太陽が、電車の中を赤く染める。 「………可愛かったね」 「ん、可愛かった」 わたしが言ってるのは赤ちゃん虎でもなく、アルパカやレッサーパンダでもない。 「女の子……いいね」 「男の子でも…可愛いだろ」 元気になったユキちゃんは舌っ足らずな口で、わたしや大地にお喋りしてくれた。