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「優苗先生、お疲れ様でーす」


「おつかれさま」



定時を過ぎたナースステーションから、
特に用のない看護師が次々と帰っていくのを見送りながら、

思わず溜息をついた。


502号室に今日から入院してきた高校生の女の子。


須藤美結(すどうみゆ)ちゃん。



入院、というのにどうしても納得がいかないらしく全く言うことを聞いてくれない。



「………どうしよう」



大地にあんなこと言ったのに、
わたしが帰れそうにないし。

本当に大地がひとりで帰ることになりそう。



「優苗先生、美結ちゃんやっぱり全く食べてませんでした」



看護師の岡崎さんが、手のつけられていないトレーを持ってナースステーションに戻ってきた。