体温計が鳴ると同時に、 優苗が目をあけた。 「おはよ………下がってないね」 いつもならその言葉に嫌だと喚くのに、それさえしない。 よっぽどきついのだろう。 抜き取った体温計に表示されているのは 〝39.6℃〟 「……病院行こっか」 本来ならば仕事で行くはずだった場所に患者として行くのは不本意だろうけど。 さすがに病院に行かないと後々困るのは優苗自身だ。