今日も夕方から沙衣と約束をしている。



初めてのディナーだ。

そんなしゃれたとこには連れていけないけど、雰囲気が良いレストランを予約した。



「真鍋ー」



「え、なに。残業はやだよ」



「違うって」



資料を持って寄ってきた大地にそう返すと、呆れた顔で笑われた。



………なんだよ、自分も優苗溺愛のくせに




「これ、来週の学会で使うらしいから目を通しとけって」




医者というのは日々勉強だ。

偶にだけど、
こういった学会にも参加する。



「ん、ありがとな」



おう、と去っていった大地が机に置いた資料を取り目を通した。