「どういう意味……?」

ひどい動悸がしていた。
言葉の意味をわかりたくない。理解したくない。

後悔してるって……わたしと付き合わなきゃよかったって……。

「遊びだったから……?」

震える声で訊いたけれど、絢斗くんは何も言わなかった。

わたしに背を向けて歩きだし、階段を降りていく。

付き合っていた二人の時間を否定された。

わたしにとって特別で幸せだった時間を『後悔してる』って……。

ひどいよ。

なんでそんなこと言うの。

その程度の付き合いだったから?

適当だったから?

わたしだけ浮かれて、いつも絢斗くんのことを考えてたの?

それってすごく、馬鹿みたいじゃん。

痛いくらい唇を強くむすんだ。

もう忘れるよ。

みっともないもん、わたしだけこんな、惨めだもん。

わたしは震えながら息を吐きだし、空き教室へ向かった。

教卓があるのを確認し、みんなに伝えて先生の許可をとって移動した。

その間のわたしはいつも通り笑っていたけど、心の中では重苦しい気持ちがぐるぐるとしていた。

絢斗くんがそんな風に思っているなんて。

胸がズキズキして、悲しかった。

好きな人がいるっていう話も、付き合ったのを後悔してると言われたことも。

全部突き刺さって痛くて、家に帰ってから思いきり泣いた。