「そう、だと思う……」

沙耶は言いづらそうな声をだした。

笑っていたはずのわたしの瞳から涙が出てくる。

「もう忘れないとダメだね。辛いだけだもんね」

「うん……」

「あはは……なんか、もう、理由わかって本当にすっきり」

一生懸命強がった。

強がれば涙がとまると思った。

でも、無理だった。

次から次へと流れていく涙。

諦めよう。

忘れよう。

無駄な強がりだってわかっていても、辛い気持ちを紛らすのに必死だった――


次の日は文化祭準備で一日フリーだった。

うちのクラスはゆったりと準備を進めていたから、まだやることはあった。

わたしは気持ちを切り替えて張り切って準備に参加した。

強がりでも決めたから。

もう、絢斗くんのことは諦める。

沙耶にもこれ以上心配かけたくないし。

うじうじしすぎて沙耶に愛想つかされたら困るし。

明るく振る舞うわたしを見た沙耶は、明るい笑顔で接してくれた。

「新しい恋しよう! わたしも絶賛彼氏募集!」

沙耶が意気込んでそう言ったから、わたしはうなずいておいた。

本当は新しい恋なんてまだ考えられないけど。

下ばかり向いているわけにはいかないから、とりあえずの笑顔をはりつけておく。

きっと、わたしの気持ちを沙耶はわかっていて、気分を明るくさせようと思ってくれている。