大好きなきみと、初恋をもう一度。

平然と言ったつもりだったけど、頬がひきつっていて震えた声になってしまった。

「菜々花……」

沙耶が心配そうな声でわたしを呼んだ。

そうか。

絢斗くん、好きな子ができたからわたしに別れよって言ったんだ。

なんだ、そうだったんだ……。

冷たく感じた理由もそれで説明がつく。

「他に好きな女ができた」と、わたしに言いづらかったのかな。

ああ……もしかして、好きな人って佐藤さんなのかも。

楽しそうに話していたし、佐藤さんは可愛いもん。

わたしなんかより、ずっと会話が弾んでいたし。

切ない思いが胸にじわりと広がって、それが涙腺を刺激する。

まだ好きなのに。

絢斗くんのこと、忘れられないのに。

もう、どうしたって無理なんだ。

「菜々花、教室に入ろう」

廊下じゃ目立つから、と沙耶はわたしの手を握って敦瑠くんに目配せをした。

わたしはふらふらと、手を引かれながら教室の端へつれていかれる。

「ごめん。菜々花には言わないほうがいいかなって敦瑠と話てたけど……でもさ、こういうの黙っていられるのはやっぱり嫌かなって思ったの……」

「……うん。なんか、すっきりしたよ。別れた理由も、きっと好きな子ができたからだね」

わたしは涙を拭いて頑張って笑みを作った。