大好きなきみと、初恋をもう一度。

嫌だと思ったってどうしようもないのに。

わたしはもう絢斗くんの彼女じゃないのだから、嫉妬するのは勝手すぎるのに。

「っ……」

下駄箱から外履きを取り出したわたしは、出そうになった涙を必死でこらえた。

泣いたってしょうがないんだよ。

ねえ、どうしてまだ絢斗くんのことをこんなに好きなんだろう。

辛いから、忘れられるなら忘れたい。

だけど思い出すのは絢斗くんのことばかり。

切ないよ。苦しいよ。

この気持ち、どうしたらいいの――


次の日は土曜の文化祭のために、今日の午後と明日丸一日が文化祭の準備の時間になる。

「うちのクラスさ、今日の午後だけで準備終わっちゃいそうだよね」

沙耶はクラスを見渡しながら笑っていて、わたしはうなずいた。

教室は和やかな雰囲気で、机をすべて後ろに片付け、床に座りながらみんなそれぞれ準備をゆったりと進めてお喋りもはずむ。

わたしは値段のプレートを書く沙耶を隣でぼうっと眺めていた。