大好きなきみと、初恋をもう一度。

ズキン、と胸が変な音をたてた。

佐藤さんは笑いながら絢斗くんの腕を軽く叩く。

絢斗くんも楽しそうに笑みを浮かべていた。

ズキン、ズキン、変な音が身体中に響いていく。

「俺オバケ苦手だからオバケ役無理なんだって」

「うそつきー! やりたくないだけでしょう?」

なんでそんなに楽しそうに話してるの?

わたしは眉をしかめて佐藤さんをじっと見ていた。

すると佐藤さんがわたしの視線に気づいて、こちらを見た彼女はむっとした表情をした。

わたしは眉の力をといて、慌てて視線をそらす。

気まずくなったわたしは、歩きだして階段の方へ向かった。

だけど二人が気になった。

まだ話しているんだろうな。

笑いあって、佐藤さんは絢斗くんの腕にまた触れるのかな。

気になって落ち着かなくて、もう一度廊下に戻りたいくらいだった。

だけど止まらず、階段を降りて昇降口へ向かった。

戻って二人を見ていたってしょうがない。

嫌な気持ちになるだけだ……。