大好きなきみと、初恋をもう一度。

教室に戻ったわたしの顔を見た沙耶は、心配そうなにそばへやってきた。

トイレで気持ちを整えてきたけど、潤んだ目元でなんとなく気づかれてしまっただろうか。

「ねえ……敦瑠に聞いてみる?」

いつものようにわたしの前の席に座った沙耶は、控えめな声で聞いてきた。

「菜々花もさ、別れの理由がわからないともやもやしない?」

「うん……」

「敦瑠なら何か知っているかもしれないし、後で聞いてみようよ」

わたしは唇を強く結んでうつむいた。

知りたい。

絢斗くんが『別れよう』と言った理由を。

わたしはゆっくりと顔を上げて沙耶にうなずいた。


お昼ご飯をすませたあと、沙耶がこっそりと電話で敦瑠くんを呼び出した。

「誰にも何も言わないで階段のところへ来て!」と言った三分後に敦瑠くんは来てくれた。

沙耶を見て、わたしを見て、呼び出された理由を悟ったと思う。

「あー……菜々花ちゃん、大丈夫か? 絢斗から別れたって聞いたけど」

敦瑠くんは気遣った声をかけてくれた。