沙耶はわたしを励ましてくれたけれど、わたしは視線を落としたままだった。

「こういうのはさ、もう本人にしかわからなくない? 勇気いるけど、梶本くんに聞いてみるしかないよ」

まっすぐわたしを見つめてそう言った沙耶を、顔を上げて弱々しい瞳で見つめ返した。

聞いて本当に駄目になっちゃったらどうするの?

でも沙耶の言う通り、聞かないとずっと不安なままだ。

勇気をだして絢斗くんに話をしてみようかな……。

そのあとも沙耶はわたしをとにかく励ましてくれた。

話を聞いて一緒になって悩んでくれる沙耶に、わたしは少しだけ元気をもらった気がした。

2時間くらい話をして、帰るときも「笑顔笑顔! 暗い顔してると幸せ逃げちゃうぞ!」と、わたしの肩を叩いてくれた。

帰宅して部屋でぼうっとして、夕暮れの空がくすんだ赤色になったころ。

わたしのスマートフォンに新着のメッセージが届いた。

床に座ってテーブルに肘をついていたわたしは、どうしてだかわからないけど、なぜかすぐ見ようと思えなかった。

でも、いつかは見なきゃならない。

ゆっくりと、テーブルに置いてあるスマートフォンを手にとって画面を確認した。