「ケンカしたっていうわけじゃないんでしょう?」

「うん……。急に冷たくなって、それはわたしが不安な気持ちになっているから、そう感じちゃうのかなって思ったけどやっぱり違うなって……」

「最近の菜々花と梶本くんを見てないからなあ。なんとも言えないけど、急に態度が変わるってちょっと嫌だね」

「学校でも、目が合えば挨拶したりするけれど、それ以外の会話はないし、一緒に帰ったりもないし」

「えー……」

「メッセージはやりとりしてるけどさ、なんか盛り上がるような話をしているわけじゃないし」

わたしは眉尻を下げてうつむいた。

「やっぱり、わたし無意識に嫌われるようなことしちゃったのかな」

「菜々花ー、あんまマイナスに考えるのやめよ?」

「だけど……」

「梶本くんに直接聞いたわけじゃないじゃん! いま菜々花が言ってるのは全部『もしかして』の話でしょ? だめだめ、悪い方向にばっかいっちゃうよ!」

「うん……」