大好きなきみと、初恋をもう一度。

絆創膏を見つめてから彼を見上げる。

「ん」と、さらに差し出され、受け取ることをうながされた。

なぜかすごく、どきどきした。

「あ、ありがとう……」

一枚の絆創膏を両手で掴み受け取ると、絢斗くんはわずかに笑った。

「じゃ、俺行く」

「うん」

絢斗くんはわたしに背を向けて階段を降り、ロータリーを進んで行った。

しばらくわたしは絢斗くんが歩いていった方向を眺めていた。

なんだろう。
胸が、変。そわそわしてる。
さっきまでそこにいた絢斗くんの顔が浮かんできた。

なにこれ、変。

頬が熱くなってきて、彼とのやりとりが頭の中で何度も繰り返されて。

どきどきしてる――

絆創膏をもらっただけなのに。でもそれは、予想外の優しさだった。

どうしよう。さっきから絢斗くんの顔ばかり浮かんでくる。

心を落ち着かせるように長く息を吐き出して、鞄からスマートフォンを取り出した。