大好きなきみと、初恋をもう一度。

わたしが昨日からずっと絢斗くんに対して不安に思っていることがあるから、そう感じたのかもしれない。

いつもと変わらない絢斗くんの態度なのに、わたしが勝手にマイナス方向にとらえているだけなのかもしれない。

でも……。

心に重りが乗っかったまま、わたしはうつむいた。

「菜々花ちゃん?」

急に下を向いたわたしをどうしたのかと、敦瑠くんが心配そうな声をだした。

気分がどんどん落ちていく。

黙っていると、小さな声でやりとりをする二人の会話が聞こえてきた。

「おい、お前らなに? 喧嘩中?」

「別に?」

「はあ? あのよぉー、もう少し言い方考えろよ。『一緒に勉強しよう』くらい菜々花ちゃんに言ってやれよ」

「菜々花がしたいようにすればいいって俺は思ったんだけど」

「それじゃ菜々花ちゃんは遠慮すんだろ」

「それならそれでいいんじゃん」

「はあ!? お前マジなんなんだよ」

あきれた声をだした敦瑠くん。

わたしはゆっくりと顔を上げて二人を見た。

敦瑠くんは困ったように笑ってわたしを見たけれど、絢斗くんはわたしの方を向かなかった。

なんだろう。絢斗くんの態度、おかしいよね……。

「……わたし、帰るよ」

せっかく敦瑠くんが誘ってくれたけれど、気まずくてそう言うしかなかった。

わたしは二人に背を向けて歩き出す。

「じゃ、じゃあね、菜々花ちゃん」

と、申し訳なさそうな敦瑠くんの声に、わたしは少しだけ振り向いて微笑んだ。

絢斗くんはそんなわたしをただ見ているだけ。

不安な気持ちが更に大きくなる。

きりきりとした胸の痛みに耐えながら、わたしは一人で帰った。