大好きなきみと、初恋をもう一度。

わたしは大きなため息を吐いて席から立ち上がった。

なんか気分が下がってしまう。
もやもやしたものが心から離れない。

余計なこと考えすぎだよね。

絢斗くんとわたしは付き合ってるのだから、大丈夫だよね。

そう自分の気持ちを明るいほうへ持っていきながら教室を出ると、ちょうど廊下に絢斗くんと敦瑠くんがいた。

先に敦瑠くんがわたしに気づいて、絢斗くんをひじでつつく。

振り向いた絢斗くんはわたしを見て口許に笑みを作った。

いつも通り。だと思っていた。

敦瑠くんがわたしの元にやってくる。

「菜々花ちゃん、一人?」

「あ、うん」

敦瑠くんとは全然話したことがないけれど、彼は人懐っこい笑みで明るくわたしに話しかけてくれた。

「俺らさ、これからファミレスで勉強でもすっかって話してたんだけど、菜々花ちゃんも一緒に勉強する?」

「え……」

「絢斗と俺だけだし、菜々花ちゃんは絢斗の彼女だしさあ。三人でどう? つか、俺が邪魔だよな! 俺がいなくなるべきだよな!」

「あ、いや、そんな」

慌てるわたしに敦瑠くんはにっ、と笑顔を向けた。

彼の明るい冗談だったらしい。

「なあ、絢斗。菜々花ちゃんも連れてくだろ?」

ゆっくり歩いてこちらにやってきた絢斗くんは、わたしを見つめてから敦瑠くんに視線を向けた。

「菜々花が行きたいなら」

そう言った絢斗くんは、少し冷たいような気がした。