大好きなきみと、初恋をもう一度。

付き合うってなったときだって、正直絢斗くんは軽かった気がする。

好きって言われたから、ノリで返事したみたいな……。

そんな風に思いたくないのに、不安がどんどん胸に積み重なっていく。

気づかなければよかったのかもしれない。

そうすれば、大好きな相手にたいしてこんなにもやもやしなかった。

机の上でノートを開きながら、わたしはずっとそのことばかりを考えていた。

学校で沙耶に相談しようかなと考えたけれど、「好きって言われていない」ということを今さら言うのは恥ずかしいと思ってしまった。

だってわたし、すごく浮かれて絢斗くんのことを話していたし。

沙耶に「いいなあ」とか「幸せそう」と言われてにやけていたし。

絢斗くんはわたしの彼氏だけれど、わたしのことをどう思ってるのかわからないなんて、そんな自分の状態を友達に知られるのはやっぱり恥ずかしい。

それに、わたしの気にしすぎかもしれないし。

絢斗くんが好きって言うタイミングがなかっただけかも。

ああ、そうかもしれない。

学校へ行っても、本当は気にしていたけど平然としていた。

「じゃあね、菜々花! わたし今日早く帰って勉強するっ」

「うん、ばいばい」

結局一日、沙耶にはなにも言えず自分の胸の中に溜め込んだまま。