大好きなきみと、初恋をもう一度。

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絢斗くんと付き合いはじめて三週間がたった。

学校ではテストの後にある文化祭の出し物の話題で盛り上がっていた。

うちのクラスは駄菓子を売って、絢斗くんのクラスはお化け屋敷をやるらしい。

テストが終わったら文化祭の準備が本格的にはじまる。

文化祭、絢斗くんと校内をまわれるかな。


家で夕飯を食べ終え、自分の部屋でテスト勉強をしていたわたしは、ふと思い返していた。

告白した日のこととか、絢斗くんのかっこいい仕草とか。

ちょっぴり意地悪な表情をしたり、優しく微笑んだり。

そういうのを思い出していて、そういえば……と、気づいてしまった。

わたし、絢斗くんに「好き」って言われていないよね?

わたしは「好きです!」と、あの日教室で勢いよく言ったけれど。

絢斗くんは……わたしの告白を聞いて「付き合う?」と、言っただけだった。

急に深く考えだして英語の単語が頭に入ってこなくなる。

今まで付き合っているということが嬉しくて、夢中で、どきどきでいっぱいで。

ずっと絢斗くんのことを考えていた頭がテストに意識が向いて落ち着いたから、気づいた。

好きって言われていないことに……。