大好きなきみと、初恋をもう一度。

わたしはうつむいた。
どうしよう。何か話題を見つけないと。

心の中で焦っていると、絢斗くんが声をだした。

「花火綺麗だな」

「え、あ、うん」

顔を上げて花火を見ようとしたけど、夜空を見上げる絢斗くんへ先に視線が向いて、独特な彼の雰囲気に目をとめたままになった。

すると、彼のスマートフォンが鳴った。

絢斗くんはポケットから取りだし、電話に出る。

「おー。ああ、うん……あっそ、わかった。そっち行く。じゃあな」

電話を切ったあとも絢斗くんはスマートフォンをいじっていた。

友達に呼ばれたのだろう。立ち止まらせてしまって、悪かったよね。

謝ろうと口を開きかけたとき、絢斗くんの顔がこちらに向いた。

「つうか、一人?」

「えっ、あ、いや、友達と来てるんだけど、ちょっと足が……」

そう言って足元に視線を移すと、絢斗くんの視線も動いたのを感じた。

男の子に足元を見られるの、なんだか恥ずかしい。
ジーンズでよかった、と思ったり。

「靴擦れ?」

「うん」

「ふうん。……あ、そうだ」

絢斗くんはスマートフォンの入っていない方のポケットに手を入れる。

出てきたのは少しよれた一枚の絆創膏。

「俺もいま指怪我してて。家出るとき適当に持ってきたやつだけど」

絢斗くんはそれをわたしに差し出した。