大好きなきみと、初恋をもう一度。

***


はじめての彼氏。

はじめてのデート。

はじめてのキス。

全部はじめてだから、わたしは浮かれていたのだと思う。

絢斗くんのことばかり考えていた。

絢斗くんのことを好きな自分のことばかりだった。


「来週中間テストだねえ。そのあとは文化祭かあ」

「うん」

お弁当を食べ終え、前の椅子に座ってわたしの机にぐったりとうつ伏せた沙耶を見るわたしは、テストが迫っているのに憂鬱な気分ではなかった。

その理由は、昨日のこと。
日曜日に絢斗くんと行った水族館デートのおかげ。

「あっ、そうだ。沙耶にお土産あるの」

「お土産?」

昨日のデートの話をゆっくりしたかったから、タコさんキーホルダーを渡すのはお昼休みにしようと思っていたのだ。

「はい、これ。昨日水族館に行ったから沙耶に買ってきたの」

「水族館って、もしかして梶本くんと? わあ、ありが……って、なにこのタコ! すごいブサ……なんでもない、うん、ありがとう」