大好きなきみと、初恋をもう一度。

「どうした?」

わたしの様子を見ていた絢斗くんが首をかしげる。

「えっと、暗くなってお母さん心配してるよってお姉ちゃんが」

「そっか。じゃあ帰らないとな」

絢斗くんが立ち上がったので、わたしも立ち上がる。

本当はまだ一緒にいたい。

そういう気持ちがあって、歩きだした絢斗くんの後ろをうつむきながらついていく。

隣にこないわたしに振り向いた絢斗くんは、ゆっくりと立ち止まってわたしの頭を撫でた。

明日になればまた会える。

わかってるけど、なんだか寂しい。

再び歩きだし、公園を出て歩道を進んで住宅街のなかへ入っていった。

夜の外灯の下を歩いていると、夏祭りのときのことをまた思い出した。

あれは蒸し暑い夏の夜のことだったけれど、今は涼しい。

まだ最近のことなのに、微かな記憶のようにふわりと頭の中を漂う。

キスをしたあとだからかな。

ほわほわして、くすぐったくて、じれったくて甘いかすかな名残が胸にあった。

「わたし、絢斗くんが本当に好き」

そんなことを確かめるように言うくらい、気持ちが浮かれていた。