大好きなきみと、初恋をもう一度。

わたしは絢斗くんの肩に熱い頬をくっつけた。

鼓動は速くて忙しいのに、とても安心する。

絢斗くんに包み込まれてほっとする……。

「菜々花がこんなに可愛いのを他の男に知られてたまるかよ……」

耳元に触れた息と掠れた絢斗くんの声に、また更に胸が鳴った。


しばらくぎゅっとされていると、わたしの鞄の中からスマートフォンの震える音がした。

体を離してどぎまぎしながら鞄を漁る。

画面を確認するとお姉ちゃんからの着信だった。

わたしは慌てて電話に出る。

「も、もしもし」

『菜々花、いまどこ?』

「えっ、なんで?」

『お母さんが心配してるから。暗いのにまだ帰ってきてないって。帰る時間、お母さんに伝えてないでしょ』

「あ……」

『そろそろ帰ってきたほうがいいよ? お母さん怒ったら恐いよぉ?』

「う、うん、わかった。帰るよ」

焦りながらそう返してわたしは電話を切った。

お祭りの日は夜の九時まで外にいたけれど、友達のお母さんが車で送ってくれたから許してもらえた。

でも今日は違うから、遅くまで遊んでいるわけにはいかない。