大好きなきみと、初恋をもう一度。

「……土産買ったし、帰るぞ」

「あ、うん」

絢斗くんはわたしの手を握って歩きだした。

わたしは彼の横顔を見つめる。

さっきの絢斗くんなんだろう、とわたしは考えたけれどわからなかった。

そして水族館を出て駅まで歩いているとき。

「今度は遊園地な」

前を向いている絢斗くんがそう言ったので、先程のことはすっと頭から消えて、わたしははにかみながら頷いた。

「遊園地楽しみ!」

「絶叫マシーン乗りまくりたい」

「えっ。そんなにたくさん乗れないよ……」

「乗る」

「わ、わたしは嫌だから絢斗くん一人で乗るしかないよ!」

「冷たいな、菜々花。俺に一人で乗って遊べっていうのか」

絢斗くんはいたずらな笑みをわたしに向ける。

うう、とわたしは困った顔で彼を見た。

楽しそうに口許を緩める絢斗くんは、握っている手をぎゅっと掴んで「冗談だよ」と微笑む。

からかうような瞳にどぎまぎしたわたしは、もう、と口を尖らせた。