彼氏とか、彼女とか、そう言われただけで安心してしまう。

はじめで男の子と付き合ったわたしには、本当に特別な言葉だった――


『テスト期間に入る前に、どっか出掛けよう』

そう連絡がきたのは、絢斗くんと付き合いはじめて二週間がたった頃だった。

ちょうどお風呂から出てきて自分の部屋に戻ってきた時にメッセージを見たわたしは、スマートフォンを落としそうになった。

だってこれ、出かけるということはデート……だよね?

メッセージは10分前にきている。早く返事をしなくては。

『うん、行く』

そう打ったわたしの手はどきどきして震えていた。

『どこに行きたい?』

聞かれて、わたしは見ていた画面から視線を上げた。
絢斗くんと一緒に行きたい場所を考える。

男の子と出かけるのなんて初めてだから悩んだ。

『遊園地とか?』

そう打ってから、違うかなと思って『水族館?』と続けて送ってみる。

『両方行こう』

そう返ってきて、一日二ヶ所は無理でしょう、とわたしは口許を緩めた。