絢斗くんが他の女の子と話していたというだけで嫌な気持ちになるなんて。

バカだな、と思うのにもやもやは消えない。

だけど、どうしたのかとわたしを見つめて首をかしげる絢斗くんは、わたしを見つけたらすぐにそばにきてくれたから。

それが、嬉しいから。

「うん？　なんでもないよ」

わたしは笑った。

絢斗くんは瞬きをして、それから周りを見た。

「敦瑠と仲良い沙耶って子はいないの？」

「教室にいるよ」

「そ。じゃあ、一緒に購買行くか？」

「うん！」

わたしは頬を緩めて返事をした。

誘ってもらえたのが嬉しい。絢斗くんの隣を歩いていると、自分が彼女だと実感するから。

そうやって付き合っているということに、わたしは少しずつ慣れていった。

他の女の子と話しているのを見て嫌な気持ちになってしまったことを沙耶に話したら、「そりゃ好きだからあたりまえだよね！」と、陽気に返された。

「安心しなよ。梶本くんは菜々花の彼氏なんだから」